先週発売されたばかりの、「プロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営まで」を早速購入してみました。
この本の概要を簡単に説明すると、近年注目を集める「プロダクトマネージャー」という職業について、また「プロダクトマネジメント」という概念について、徹底的かつ網羅的に解説した本となっています。
参考になる部分も多い本でしたので、早速感想を書いてみます。
目次
こんな人におすすめ
「プロダクトマネジメントのすべて」は、こんな方にはおすすめ出来るのではないかと思います。
- プロダクト開発に関わる仕事をしている、もしくは興味がある
- プロダクトマネージャーという仕事に興味がある
- 自己流でプロダクトマネジメントをしており、自信が持てない
- これまでの経歴はSIer中心で、自社サービス開発企業ではどういった仕事の進め方をしているのか知りたい
- 新規事業の立ち上げを成功させたい
なお自分の場合は、「自己流でプロダクトマネジメントをしており、自信が持てない」という理由で購入しました。
「他社ではどういう風にプロダクト開発を進めてるんだろう?組織はどういう階層で、どういう管理手法なんだろう?」と時々考えることがありますが、業界の最先端を走るトッププレイヤーによる解説を読むことで、自分のやり方とのギャップ等いくつかの気づきを得られました。
対象読者もプロダクトマネージャーだけでなくエンジニア、デザイナー、マーケター、事業推進者と、幅広いターゲットに向け書かれており、ものづくりに関わる全ての人に有益な書籍となっています。
(プロダクト開発の経験が無い方向けにも分かりやすいように書かれています。)
一方で、著者独自のストーリーや、エピソードなどを期待している場合は、本書は合わないかもしれません。
本書はなにか著者の主張やストーリーが展開された本ではなく、まさにプロダクトマネジメントにおける「教科書」のような内容となっています。
個人的にはプロダクト開発に関わる全ての人に読んで欲しいと思ったので、自社内でもチームメンバーに読んでもらうよう啓蒙活動をしようと思っております。「仕事で使う言葉の定義」が統一できることで、コミュニケーション時間短縮のメリットもあるのではないかと!
著者の経歴がすごい
本書の著者は、及川 卓也さんと、曽根原 春樹さんと、小城 久美子さんの3名。
- 及川さんは、MicrosoftやGoogleでプロダクトマネージャーやエンジニアリングマネージャーとして活躍し、現在はTably株式会社の代表。
- 曽根原さんは、シスコシステムズやスタートアップ企業でエンジニア、セールス、コンサルティング、マーケティング、カスタマーサポートと様々な役職を経験。
- 小城さんは、ミクシィやLINEでエンジニア経験を積み、その後プロダクトマネージャーとして活躍。
凄い経歴の方々ですね…。
日本やアメリカのITプロダクト開発における最先端の企業で活躍されている方々です。
本書の内容は、どこかの1社のやり方にとどまらず、著者の方々のこれまでの経験を基にした英知の結晶となっているため、プロダクトマネジメントのベストプラクティスと言えるのではないでしょうか。
個人的には、及川さんが昔NHKのテレビ番組「プロフェッショナル仕事の流儀」にGoogleアメリカ本国のエンジニアとして出演されていたのが強烈に印象に残っています。
※テレビを見て「うぉーGoogleのエンジニアかっけー!」と思った当時25歳頃の僕は、その後しばらく自分の部下たちとミーティングする際は床にあぐらをかくスタイルを貫いておりました。(形から入るタイプ)
情報量がすごい【本書の目次】
この本はプロダクトマネジメントに関することが本当に網羅的に書かれており、かなりのボリュームとなっています。目次の大分類だけを抜粋しても、これだけの内容があります。
Part 1 プロダクトの成功
Chapter1 プロダクトの成功とは
Chapter2 プロダクトマネージャーの役割
Chapter3 プロダクトマネージャーの仕事とスキルの全体像
Part 2 プロダクトを育てる
Chapter4 プロダクトの4階層
Chapter5 プロダクトのCore
Chapter6 プロダクトのWhy
Chapter7 プロダクトのWhat
Chapter8 プロダクトのHow
Part 3 ステークホルダーをまとめ、プロダクトチームを率いる
Chapter9 プロダクトマネージャーを取り巻くチーム
Chapter10 チームとステークホルダーを率いる
Chapter11 チームでプロダクトをつくるためのテクニック
Part 4 プロダクトの置かれた状況を理解する
Chapter12 プロダクトステージによるふるまい方の違い
Chapter13 ビジネス形態によるふるまい方の違い
Chapter14 未知のビジネスドメインに挑む
Chapter15 技術要素の違いによるふるまい方の違い
Part 5 プロダクトマネージャーと組織の成長
Chapter16 プロダクトマネジメントと組織
Chapter17 プロダクトマネージャーのスキルの伸ばし方
Chapter18 プロダクトマネージャーのキャリア
Part 6 プロダクトマネージャーに必要な基礎知識
Chapter19 ビジネスの基礎知識
Chapter20 UXの基礎知識
Chapter21 テクノロジーの基礎知識
「プロダクトマネジメントのすべて」目次より
※ここからさらに中分類と小分類もあったのですが、量が多すぎるので省略しました。
実際はさらに細かく記載されています。
MVP、OKR、BtoCとBtoBの特徴、収益モデルの種類、などなどプロダクト開発に関係ありそうな要素は全部1冊の中に入っている気がします。
もちろんここまで網羅的だと、1つ1つの内容に割けるページには限界があります。
そのあたりは、気になったパートの関連書籍を買ってみるなどして、さらに深堀するのが良いと思います。
本書で紹介されているいくつかのキーワードの中には、1つのキーワードをテーマに1冊の本が出ているほど奥が深いテーマも含まれています。
著者の推薦図書14選
本書の最後に著者の推薦図書が記載されていたので、ここでも紹介しておきます。
(あとで全部買う。)
プロダクトのCore
・プロダクトの世界観をつくる
・事業戦略
プロダクトのWhy
・「誰」を「どんな状態にしたいか」
・プロダクトのWhyを検証する
プロダクトのWhat
・ユーザー体験
・ビジネスモデル
・プロダクトのWhatを評価する
プロダクトのHow
・ユーザーインターフェース
プロダクトマネジメント全般
まとめ
「要約」というほど要約できていない記事になってしまいましたが、本書はそれほどまでに始めから終わりまで情報量がぎっしり詰まっていて読み応えのある本でした。
プロダクト開発に関わるすべての方におすすめできる良書でしたので、ぜひ職場に一冊購入してみてください。